それは、畏怖。 それは、尊称。 それは、忌み詞。 それは、畏敬。 それは、――罪過。 そこにあって破壊を生み、そこになくとも破滅への道標となる。 恐怖の呪詛も、それにとっては甘美な音色。 触れなければ融けぬものを、それでも触れたがる情念。 恐怖から逃れるために縋った先は、抜け出すことの出来ない迷夢。 狂った暴走はもはや止められず、過ちを過ちで消す悪循環をなす。 純乎ゆえの忌諱。 その色は魔を呼び、その味は魔を魅了する。 あまりにも大きすぎた、理想の代価。 ―――何度やっても無駄さ。 紅蓮の深淵に魔の刻印を映し、ソレは冷ややかで不敵な微笑を浮かべた。 ―――消せやしねえよ。俺は、てめえらの犯した過ちの証だぜ? |